FROM 辻良岳
本染め工場からのプリント工場より、、、
本染めの工場から、染料プリントの出来る工場にやってきております。
車で約3時間といったところでしょうか。どちらも自然に囲まれたいい処にあります。
こんな空気の澄んだところだと、仕事を休んで、ゆっくりと蕎麦でも食べてのんびりしたくなっちゃいますね。(いや、仕事は好きですよ!一応・・・)
本染め工場から、染料プリントの工場に行くことがなかったので、ふと考えました。
「本染めの手ぬぐいと、染料プリントの手ぬぐい、どちらがいいのか?」
それを決めるには、本染めと染料プリントの違いから説明する必要があるでしょう。
◆本染め
日本の伝統的技法で、生地に防染糊という着色防止の材料を載せることで、染料を注いでも 染まるところと、白いままの箇所を作り、柄を表現します。
染色後、洗い、干して乾燥させ、生地を伸ばしてカットして完成です。
◆染料プリント
染料で染色するのですが、スクリーンプリントという技法を使用し、型で染料が載る箇所と載らない箇所を作り、柄を表現します。
染色後は、蒸し洗いの工程を行い、生地を伸ばしてカットし完成です。
これだけでは、完成品の違いが分からないですよね。
上記の作り方で、完成がどのように異なってくるかというと、
・本染めは、防染糊を綺麗に載せるのに、約2㎜の幅が必要なので、柄の線や点の太さが約2㎜以上必要になります。
対して、染料は、糊を載せる必要がないので、1㎜以上の太さで柄が再現出来ます。(デザインでこの1㎜の差は大きいですよね。)
・本染めは、染料をナミナミと注いで、裏まで一気に色を通すため、裏まで色が90%から100%近くまで色が通っています。
対して、染料プリントは、刷毛の圧力で染料を入れていくのですが、裏までは60%から80%程度しか色が通りません。
大きく分けるとこの2つの違い、柄の再現出来る太さと裏まで色が通るのかが異なります。
なら、どちらがよりよい方法なのでしょうか。
答えは、ありきたりですが、 どちらもです。。。
染料プリントの手ぬぐいは、デザインの再現性が本染めよりも良く、本染め手ぬぐいは、裏まで色が通り高級感がでます。
デザインの再現性か、高級感(もちろん伝統としても)かどちらを選ばれるかによって、決められるべきです。
どちらも、和晒の生地で、着色は染料なので、吸水性・速乾性・肌触りもほとんど変わらないのです。
どちらの技法が絶対に良いとかではなく、どちらが希望に適したものに仕上がるのかを考えること。
当然のことですが、ついつい、価格や固定観念だけで判断し、忘れがちなことなので、
常に意識しておきたいですね。
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手ぬぐい神野 辻